今月の講話(毎月1日 月次祭後の宮司講話です)

平成30年11月 『智恵と仕度』

 11月に入りまして 只今 月次祭の祝詞でも申しましたように『落ち葉しぐれ』の季節がやって参りました。
今月は秋の土用が明けて いよいよ立冬を迎えます。
相対して 冬の土用が明けますと立春になり 立春とは 昔の仮名暦のなかで『春立つ』一方 立冬は『冬と成る』と表現します。
文字は「立つ」という字 そして なるというのは 平成の「成」という字を当てます。
成立いう言葉もございますが もしかすると「春立つ、冬と成る」というところから『成立』という言葉が生まれてきたのやもしれません。
いずれにいたしましても 先人が自然から生み出した智恵であります。

 日本は四季が豊かでありまして 元来日本には四季折々の「支度」というものを大切にして参りました。
生活のなかにおいて「支度」という言葉は非常に尊い言葉でありまして 冬が参りますと冬支度であり お正月が近づいてくると お正月支度ということです。
人生においてもそれぞれの年代においての『支度』というものがあるわけであります。そういった意味で 先人の智恵というのは日常生活の中に 溶け込んで今日に伝わっているわけですが 近年はハロウィーンなど 外来の智恵を取り入れているにもかかわらず 残念なことに本来の日本人の智恵を活かす方々が 非常に減っているように感じられます。これは戦後の教育がそうしてしまったという感も 否定できないところであります。
 日本の国柄とは いわゆる宗教の観念をはるかに超えて『自然のなかには真にいろいろな神さまがいらっしゃるんだ』ということで 身近に神々を感じながら自然ともに いわゆる神さまとともに生活を営み 今日に至ってきたわけであります。この寒い時期は、寒い寒いという体感だけで終わってしまうと 陰鬱になるわけですが 寒いというのはある意味 身も心もシャキッとさせて頂く瞬間もございます。ですから 斯様な時にこそ 風が吹いたら 風を感じ 「あ!神さま!」と 感じて頂くことが肝要かと存じます。
皆様方には 寒い時期だからこそ より元気をお出し頂き これからお正月に向けてのお支度も余念なきよう 今月もどうか大神さまのご加護 そして それぞれ皆さま方のご先祖のよきお導きを頂かれまして お過ごしくださいますよう お祈りを申し上げます。

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